【弁護士が解説】家賃滞納者への適切な督促方法

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【弁護士が解説】家賃滞納者への適切な督促方法

家賃滞納があった場合には、まずはいくつかの段階に分けて、家賃の督促をしなければなりません。
賃貸借契約のような継続的契約の場合には、いきなり契約の解除をすることができません。
その理由としては、信頼関係破壊の法理と呼ばれるものがあるからです。信頼関係破壊の法理は、賃借人と賃貸人との信頼関係を破壊するほどの高度な背信性が認められなければなりません。

1ヶ月や2ヶ月ほど家賃を滞納した場合であれば、過去の状況にもよりますが、すぐには賃貸借契約を解除することはできません。

そこで本記事では、家賃滞納者への適切な督促方法について詳しく解説をしていきます。

◆督促をする際の注意点
督促をする時には、過度な方法を用いてはいけません。
具体的には以下のようなものがあげられます。
・早朝や深夜に訪問したり電話などをする(20時から翌朝7時の間)
・同じ日に何度も訪問や電話をする
・張り紙や立て看板などを利用して督促する
・相手の職場など、住居以外の場所に連絡をする
・連帯保証人以外に督促をする
・無断で入室をしたり、室内のものを撤去、没収、鍵の交換などを行う

このような相手方の権利を侵害するような方法を用いて督促をした場合には、逆に相手から損害賠償請求をされてしまう可能性があります。

◆家賃滞納者への督促の手順
①電話や訪問などで直接督促
まずは滞納から1週間程度が経過した段階で、電話や訪問などで督促をするようにしましょう。
この段階であれば、単に賃料の支払いを忘れていたということも考えられ、即時解決となる可能性があります。

訪問に関しては、電話をしても応じない場合に留守番電話に滞納している旨を伝えた上で、行うようにしましょう。

②督促状の通知
家賃滞納が1週間以上続いた場合には、督促状を作成しましょう。

上記でも伝えた通り、単に払い忘れに可能性もあるため、督促状の文面はなるべく物腰が柔らかい内容としておくことをおすすめします。

③連帯保証人へ賃料請求の督促状を送る
家賃滞納から1ヶ月から2ヶ月以上が経過した場合には、連帯保証人にも督促状を送ることとなります。

この段階ではより一層滞納者へプレッシャーのかかる内容を記載するようにしましょう。
具体的には、賃貸借契約の解除を検討している旨を記載しておくと良いでしょう。
また、連帯保証人にも請求をした旨も伝えておくと良いでしょう。

④契約解除の催告書を作成・通知
滞納から3ヶ月が経過した段階で、契約解除を促す催告書を作成しましょう。
具体的な内容としては、催告書で指定した期日までに入金がない場合には、法的手段に訴える旨を記載することとなります。

作成後は内容証明郵便にて催告書を通知することとなります。
内容証明郵便は、誰から誰にどのような内容が送付されたのかということを、郵便局が証明してくれる特殊な形態の郵便となっています。
これを送ることで、のちに裁判に発展した場合には、証拠資料として提出することができ、相手は言い逃れができなくなるため、より大きな心理的プレッシャーを与えることができるようになります。

◆家賃滞納者が催告書に応じなかった場合
家賃滞納者が催告書にも応じなかった場合には、明渡し訴訟の申し立てを行うこととなります。
この明渡し訴訟では不動産の明渡しだけではなく、滞納分の家賃についても請求をすることができます。

明渡し訴訟の申し立ての際には、以下の書類を提出することが一般的となっています。
・訴状
・賃貸借契約書
・契約解除の通知書
・不動産登記簿謄本(不動産登記事項証明書)
・固定資産評価額証明書
・代表者事項証明書(原告・被告が法人の場合)

申立てから裁判の開始までは2〜3ヶ月程度となっています。
被告が申立ての内容について特に争わない場合には、訴状で記載した通りの判決が下されることが多くなっています。

被告が原告の言い分を争った場合には、期日が1回で終わらず、今後も1〜2ヶ月に1回程度で期日が開かれ、両者の言い分を聞いた上で裁判官が判断を行い、判決となります。

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