立ち退き料とは、賃貸人が賃借人に立ち退きを要求する際に、補償として支払われる費用のことです。
住居用と比べて、店舗やテナント用物件の立ち退き料は高額になる傾向があります。
この記事では、店舗やテナントの立ち退き料について、相場や計算方法などを解説します。
立ち退き料は法律的に必要
借地借家法第28条では、賃貸借契約を終了させるためには「正当の事由」が必要です。
これには、立ち退きを求める正当な理由に加えて、財産上の給付の申し出が含まれます。
立ち退き料を支払わなければ、原則として正当の事由とはみなされません。
店舗の立ち退き料相場
店舗やテナントの立ち退き料相場は、賃料の2年~3年分程度です。
賃料の3か月〜6か月分程度が目安となる住居の立ち退き料に比べ、店舗の場合は高額になります。
しかし、事例によって金額は大きく変わります。
過去の裁判では、月額賃料が10万円の場合の立ち退き料が1,000万円を超えたケースもあります。
店舗の立ち退き料計算方法
店舗やテナントの立ち退き料には一定の計算式はありませんが、通常、以下の要素が考慮されます。
移転費用
新しい店舗への移転に伴う費用、例えば不動産仲介手数料、礼金、引っ越し費用などが補償されます。
新しい店舗の賃料が現在の賃料を上回る場合は、その差額も立ち退き料の対象になります。
新店舗の改装費や広告費、テナントの撤去・原状回復にかかる費用も含まれる場合があります。
営業補償
店舗の移転に伴って一時的に休業する場合、その期間中の損失利益や従業員に対する給与などが計算されます。
常連客を失う可能性もあるため、移転後に売り上げが安定するまでの損失額が補償される場合もあります。
借地権
借地権とは、建物を建てるため第三者から土地を借りる権利のことです。
賃貸人が立ち退きを要求することで借地権が失われた場合、その権利の対価が補償される場合もあります。
借地権として算出された価格そのものが、直接加えられるわけではありませんが、立ち退き料の計算の際に考慮される重要な要素になるでしょう。
まとめ
店舗やテナントの立ち退き料相場は、賃料の2〜3年分程度です。
移転費用、営業補償、借地権などに基づいて計算されます。
立ち退きをスムーズに進めるには、十分な交渉期間が必要です。
立ち退きに関するトラブルについては、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
柳原法律事務所(東京都武蔵野市)|【店舗・テナント向け】立ち退き料の計算方法や相場について